赤旗日曜版の「新ペンだこパラダイス」

ごぶさたしております。 日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版には連載漫画のコーナーがありますが、現在は山本おさむの「新ペンだこパラダイス」を連載しています。 山本は1990年代前半に『週刊アクション』で「ペンだこパラダイス」を連載していたので、その続編でしょうね。 長崎県に住む中学生が漫画家を目指すストーリーで、作者山本の自伝的作品と言えましょう。 赤旗日曜版最新の5月2日・9日合併号に掲載された第18回。 主人公は漫画仲間とともに、貴重な夏休みを費やして同人誌の制作にいそしんでおり、締め切り最終日のその奮闘ぶりが描かれた回です。 同人誌に参加した松原が描き上げた作品を持ってきますが、それがワラ半紙に鉛筆で仕上げたもの。 画用紙やケント紙を使わず、ペン入れもしていない松原に主人公たちは憤慨しますが、松原は悪びれずニコニコ。 ただまあ、生徒たちの帰り道にある駄菓子屋のおっさんに材を取った松原の漫画は、なかなか面白そうではありました。 前に伝えたことがあるかどうか忘れましたが、私は子どもの頃に漫画家を志した人間であります。 特に小学生の時分は「漫画家になる」と確固たる意志を持っていて、落書き帳に考え付いた漫画をよく描いていました。 ただ「ペンだこ」の主人公とは違い、中学に上がる前には漫画家の夢をあきらめました。 理由は「いくら(自分なりに)描いても絵がうまくならん、才能がない」と思ったからです。 だから私は「ペンだこ」の主人公たちが少しうらやましくもあります。 …

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『民主文学』で旭爪あかね追悼特集

『民主文学』最新の5月号にて、昨年11月に死去した旭爪あかねの追悼特集が組まれた。 そのトップを切った吉開那津子のエッセー。 吉開が担当した「創作専科」の一生徒だった旭爪は、かなりの急ごしらえで50枚ほどの小説「屋根の上に」を提出した。 作品について吉開は以下のように述懐している。 「それはいかにも急拵えの作品らしく語彙の選択も適切ではなく、文章の起伏も乱れ勝ちであった。だが、私はこの作品の主題の現代性に、圧倒されていた」 このくだりを読んで思い出したのは、ジャンルが違うが国民的漫画となった「鬼滅の刃」を生み出した吾峠呼世晴氏のことである。 吾峠氏は漫画家デビュー前、集英社の漫画賞に短編「過狩り狩り」を投稿した。 この作品は受賞にこそかからなかったものの、その作品の世界観に編集部がざわついたという。 そして吾峠氏が「過狩り狩り」に改良を加えて初の連載作品として世に出したのが「鬼滅の刃」だ。 旭爪も紆余曲折を経て「屋根の上に」を改稿し「世界の色をつかまえに」という中編に仕上げた。 宮本阿伎氏によれば、同作品は日本で初めて「ひきこもり」を主題にした小説ではないかと論じられている。 創作への想像を絶する苦闘を経て文学史、あるいは漫画史のエポックメーキングとなりうる作品を生み出した。 その一点において、旭爪と吾峠氏とに共通点がみられるのではないか…というのは、うがちすぎにも程があろうか。 旭爪の追悼特集には、横田昌則が短いエッセーを寄せている。 横田については、過去にこ…

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