「動物のお医者さん」は笑えるがイソジンは笑えないよね

きのうの晩、twitterをいじっていたら速報として吉村大阪府知事と松井大阪市長の記者会見を伝えるツイートが出回っていた。 ご存じイソジンの件である。 ツッコミどころが満載すぎる話だが、私は「イソジンがコロナの重症化を防ぐ」とやらの根拠となるサンプルが41人と聞いて思わず「動物のお医者さん」(白泉社)に収録したエピソードを思い出した。 言わずと知れた、大学の動物病院を舞台にした佐々木倫子の名作漫画である。 主人公ハムテルの相方、二階堂は研究論文の作成でピンチに陥っていた。 猫に付着する細菌をテーマにしていたのだが、全くサンプルが集まらない。 長老の大学教授の思い出話を基に、ハムテルと二階堂は、猫が水を飲みに集まるという「猫の泉」を探索。 何とか発見し、集まっていた猫の脇を綿棒でぬぐうという作業を二人して生傷をこさえながら行い、30匹分のサンプルを集めた…という話だ。 維新の連中のイソジン話を聞いて、それを思い出したのである。 二階堂の話には続きがある。 後日学会があり、二階堂は例の研究成果を発表した。 質疑応答で、あるベテラン教授が「サンプルが少ない」と研究内容に疑問を呈する。 この教授はハムテル、二階堂の恩師である漆原教授のライバルであった。 ライバル教授の横やりに漆原教授は敢然と反論するが、結局つかみ合いのけんかになるというオチ。 初見のとき、私はこの展開に笑わせてもらったものだ。 しかし今回の維新のイソジン会見には、ちょっと笑う気が起きない。 感染…

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手塚治虫「アドルフに告ぐ」についていくつかの覚書

twitterをちまちまチェックしていると、こういう発言に出くわした。 発言の主は菅家しのぶさん(@Sugaya03)。 お笑いの評論家として活動している人らしい。 (菅家氏のtwitterから) この間の嘱託殺人事件でナチスの優生思想がクローズアップされていたこともあり、私は彼と引用ツイートを通じてやりとりした。 (私の返信に対する菅家氏の引用ツイート) 彼が紹介した映画は「お名前はアドルフ?」というドイツのコメディー。 ちなみに今年、日本ではアメリカの「ジョジョ・ラビット」、アメリカ・ドイツ合作「名もなき生涯」といったナチスを題材に採った映画が公開された。 菅家氏が紹介した「お名前はアドルフ?」の公式サイトで予告編を見たが、登場人物がヒトラーを「独裁者だ」と唾棄するなど、彼が率いたナチスドイツを批判している前提で物語が進められていると分かった。 そらそうだろうね、ナチスをのさばらせたことに痛苦の歴史的教訓を得たドイツの映画だもの。 私はここで手塚治虫が残した名作「アドルフに告ぐ」を議論の俎上(そじょう)に上げてみた。 そしたら、小学時代に同作品を読破したと誇る菅家氏の認識はこうである。 (いずれも同上) おいおい。 「手塚はヒトラーに魅力を感じていたから漫画の題材にした」「手塚はヒトラーを決して否定的に描いていなかった」だとよ。 これって平たく言って手塚への冒涜だと思うのよね。 そういう主張の根拠として、菅家氏は「ヒト…

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『手塚治虫の戦争反対への情熱』

きょう付「しんぶん赤旗」の1面コラム「潮流」は、手塚治虫に触れている。 命日は先月だったがなぜこのタイミングで? とふと思った。 反射的に、娘のるみ子氏が「100日後に死ぬワニ」の件で父親を引き合いに出してツイートしていたもんで、そこから始まった話かと。 どうやら元ネタは、コラムの中盤で紹介されているこの書籍らしい。 元赤旗記者という藤原義一氏が出版した著書『手塚治虫の戦争反対への情熱』。 手塚が生前、熱心な共産党支持者であったことが、以前このブログでも紹介した故・松本善明衆院議員の応援演説を引いて紹介されている…てことを「潮流」で書かれている。 ほうほう。 じゃあ私も本書を購入すっかね…と書名をググってみる。 書籍の情報が全然ねえ。 「潮流」では出版社名を省いて紹介しているから、どこに問い合わせしていいかも分からねえときた。 自費出版なのかなあ。 俺みたいに「購入したいんだけど」と思っている赤旗読者は山のようにいるだろうから、ちょっと後日書籍の情報を紹介してほしいね。

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スクープ!!共産党衆院議員高橋千鶴子は筋金入りの漫画少女だった!!!

それは全くの偶然だった。 ↑ SF小説風 twitter(@sledgekawasaki)のタイムラインにおいて、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員の質問動画が紹介されていた。 その流れで私が「高橋氏は高校時代に漫画同好会を立ち上げたほどの漫画オタクだよ」と言及した。 そしたらあろうことか、高橋議員本人からリプが来たのである。 (@sledgekawasakiのタイムラインから) 元教師の高橋議員は「漫画同好会を立ち上げたのは大学時代のことだ」と指摘した。 いやあ申し訳ない。 しかし特筆すべきは、私へのリプの中で少女時代に4コマ漫画を描いたり、付録付きの漫画雑誌を作成したりしたという過去を語ってくれたことだ。 この情報は議員の公式サイトのプロフィールページにも書かれていない、まさに貴重な証言である。 しかし自ら漫画雑誌を作成したというのは、かの藤子不二雄F・Aの少年時代を思わせるな。 あの名作「まんが道」で描かれたように、自分たちで漫画雑誌を作製して道端の子どもに読ませて感想を求めていたてやつね。 高橋議員はリプの中で「漫画からはほぼ遠ざかってしまった」と述べている。 しかし私はこの言葉に「ほぼ、であって全く遠ざかったわけではないのか」と都合よくとらえてしまう。 議員の激務の合間、ふと指が動いて漫画を描いているんじゃないか…そんなことを勘繰ってしまいます。 ともあれ、世に星の数ほどいるであろう漫画好きの皆さんにおかれましては、ぜひとも高橋議員の活…

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手塚治虫の件で式村比呂氏に物申す

twitter(@sledgekawasaki)のタイムラインに、こういうツイートが出回ってきた。 ツイート主は式村比呂氏(@saburou_sinra)という。 (式村比呂氏のtwitterから) きのう(2月9日)が命日だった手塚治虫が生前、共産党を支持していたということを伝えていたのでRTしようと思ったが、その後に続く式村氏のツイートを読んでやめておいた。 続きのツイートについては画像を張らんが、要は「今や共産党は表現の自由を守らなくなった」てな趣旨のテマをぶっこいていたからである。 例の献血ポスターの件。 あれに当初「難癖」(と式村氏は決めつけている)をつけた太田啓子弁護士に、ある共産党議員がtwitterで賛同していたから…というのが彼の言い分らしい。 宇崎の献血ポスターについては、既に多数の方が指摘しているように表現の自由の問題でなく、TPOの問題であろう。 30年以上昔はヌードカレンダーが企業や業者によく配られていたようで、私の子ども時代には飲食店のトイレにその手のカレンダーやポスターが張られていた。 そうした状況に批判が高まり、今や町中で堂々と女性の裸が目につくことはほとんどない。 バブルがはじけて、配布用にカレンダーがあまり刷られなくなったのもあろうが。 宇崎のポスターも、その文脈で論じるべき問題だと思うがね。 あと式村氏に聞いておきたい。 共産党が、当時のマンガ焚書などに反対して表現の自由を守ろうと運動していたからていたから手塚は支…

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「心の傷を癒すということ」と「宇崎ちゃんは遊びたい!」

「しんぶん赤旗」日曜版、最新の2月9日号で、岩根彰子氏による春の連続ドラマ評が掲載されている。 「痛みや苦しみに真摯(しんし)に向き合うドラマ」として「心の傷を癒すということ」(NHK総合)、「アライブ がん専門医のカルテ」(フジ系)、「コタキ兄弟と四苦八苦」(テレビ東京系)の3本を紹介している。 個人的に心をひかれたのは、今年で発生から25年となった阪神・淡路大震災をテーマとして「心の傷を―」かな。 在日韓国人の精神科医・安克昌氏をモデルとした柄本佑氏演じる主人公が、震災直後の避難所の保健室で被災者たちの声に耳を傾けるという作品。 柄本氏は今クールにて「知らなくていいコト」(日本テレビ系)で吉高由里子の恋人役も演じている。 あわせて「心の傷を―」の主人公と、彼にとっては飛躍の時期と言っていいだろう。 脚本を担当する桑原亮子氏は兵庫県西宮市に住んでいた中学2年生当時、実際に阪神・淡路大震災で被災した経験があることが岩根氏のコラムで触れられていた。 桑原氏本人は重度の軟調を抱えながらラジオドラマの脚本を書いてきたキャリアがあるという。 この桑原の過去を知ってふと頭に浮かぶのは、このほどテレビアニメ化が決まった漫画「宇崎ちゃんは遊びたい!」(KADOKAWA)のことだ。 周知の人も多いだろうが昨年秋ごろ、本作品の女性主人公・宇崎の豊満なバストを強調したカットが日本赤十字の献血促進ポスターに起用され、大きく物議を醸した。 批判の矛先は「エロさを前面に出した女性のカットを公…

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ベルク井野は『りぼん』編集部員の爪の垢を煎じて飲めよ、古いけど

少女漫画雑誌『りぼん』の連載漫画で、定番だったらしい喫煙シーンがNGになるという。 私としては『りぼん』編集部の決断を支持する。 理由をこの際ハッキリ言うと、漫画で喫煙シーンを描く(喫煙者の登場人物を出す)ことは、その漫画を面白く読むことに1ミリも作用しないからだ。 たとえば単行本100巻のレコードを持つ室山まゆみ「あさりちゃん」。 作者の室山姉妹は非喫煙者だそうだが、成人のレギュラーであるママ・浜野サンゴはもちろん、父親のイワシも喫煙をしていない。 「あさりちゃん」が始まった頃(1970年代後半)のイワシはいわゆる戦時中の生まれであり、この世代の成人男性で非喫煙者というのは当時としてはごく少数だったと思う。 もう一つ、佐々木倫子「動物のお医者さん」。 佐々木氏が非喫煙者という明確なデータはないが、彼女の単行本の巻末によく描かれる仕事場のルポ漫画では、喫煙シーンを見たことがない。 「動物のお医者さん」は「あさりちゃん」と違って成人の人物が多数出てくるが、レギュラーやチョイ役を含めて喫煙シーンは描かれなかった。 1980年代後半に始まった漫画としては、非常に画期的だったのではないか。 ほかの少女漫画に詳しくないけど。 まあ俺がやったことは喫煙者の出てこない漫画を2本紹介しただけなので「だからどうした」と言われればそれまでではある。 ただし、もし「『あさりちゃん』も『動物のお医者さん』も喫煙シーンをバンバン描けば、もっと面白い作品になった!」とのたまうやつがいたとし…

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