『民主文学』で旭爪あかね追悼特集

『民主文学』最新の5月号にて、昨年11月に死去した旭爪あかねの追悼特集が組まれた。
そのトップを切った吉開那津子のエッセー。
吉開が担当した「創作専科」の一生徒だった旭爪は、かなりの急ごしらえで50枚ほどの小説「屋根の上に」を提出した。
作品について吉開は以下のように述懐している。
「それはいかにも急拵えの作品らしく語彙の選択も適切ではなく、文章の起伏も乱れ勝ちであった。だが、私はこの作品の主題の現代性に、圧倒されていた」

このくだりを読んで思い出したのは、ジャンルが違うが国民的漫画となった「鬼滅の刃」を生み出した吾峠呼世晴氏のことである。
吾峠氏は漫画家デビュー前、集英社の漫画賞に短編「過狩り狩り」を投稿した。
この作品は受賞にこそかからなかったものの、その作品の世界観に編集部がざわついたという。
そして吾峠氏が「過狩り狩り」に改良を加えて初の連載作品として世に出したのが「鬼滅の刃」だ。
旭爪も紆余曲折を経て「屋根の上に」を改稿し「世界の色をつかまえに」という中編に仕上げた。
宮本阿伎氏によれば、同作品は日本で初めて「ひきこもり」を主題にした小説ではないかと論じられている。
創作への想像を絶する苦闘を経て文学史、あるいは漫画史のエポックメーキングとなりうる作品を生み出した。
その一点において、旭爪と吾峠氏とに共通点がみられるのではないか…というのは、うがちすぎにも程があろうか。

旭爪の追悼特集には、横田昌則が短いエッセーを寄せている。
横田については、過去にこのブログでも取り上げた。
かつては横田、旭爪、渥美二郎、そして浅尾大輔が民主文学の「若手四天王」と呼ばれ奮起したことに横田はエッセーで触れている。
時がたち現在、横田は日本共産党所属の兵庫県宝塚市議として活動している。
その横田は旭爪について「これからも永遠の同志であり、ライバルだ」とエッセーを結んでいた。
そう、旭爪あかねは、民主文学に携わるすべての人々の中で生き続けるのである。

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